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- Side Mirror(2024年7月号)
このところ、大手EVメーカーの相次ぐ値下げ、人員整理、投資先送りのニュースや、EV大国である中国の景気減速から、好調だったEV販売が、一時の勢いを失っているといった報道、解説を耳にする機会が増えた。実態はどうなのか。
IEA(国際エネルギー機関)の「EV Outlook 2024」によれば、EV販売は(含むプラグインハイブリッド車)は、2020年の299万台から2023年には1,380万台、年平均66.6%の成長を実現。一方、足元の見通しでは、年平均成長率が2023年~2025年は22.9%、2025年~2030年は14.4%、次の5年は6.8%の伸びに徐々に減速していくとしている。EV販売シェアは、2023年には18%に達し、IEAは「主要市場でアーリーアダプターから大衆市場へと普及がシフトし、新たな局面を迎えている」としている。
EVは着実に普及が進んでいるものの、成長スピードが落ちているのは事実のようだ。アーリーアダプターから大衆市場へとシフトすれば成長は一段と加速するものだが、競うように導入された購入インセンティブ策が、多くの国で2023年に廃止されたり、縮小されたことから購入が手控えられている。加えて、充電スポットの整備が遅れていることや、バッテリーの進化が、“ムーアの法則”並みには進まないこともあり、販売が少し足踏み状態にあるということだ。しかし、内燃機関車からEVへのシフトは、脱炭素社会実現に向けた重要なピースの一つであることは変わらない。また、EVは、これから開発競争が激しくなるSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)とほぼ同義だ。EV市場の減速は、内燃機関車の復活を意味するわけではないだろう。
日本は、今のところ、EVの製造、販売では存在感が小さい。上記の「Outlook 2024」では各国の現状に言及があるが、“日本”についての言及はない。2021年、2022年の勢いでEV市場が拡大を続けていれば、日本の出る幕はなくなっていたかもしれないが、市場の成長スピードが減速する足元の状況は、日本にとって、巻返しのチャンスだ。世界の動きをみていると、EV市場は、官民が呼吸を合わせ、協力していくことが必要だということが分かる。日本にもできるはずだ。
佐久間 啓
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。