内外経済ウォッチ『米国~利上げ最終局面でFRBは景気への配慮を強める~』(2023年8月号)

桂畑 誠治

目次

FRBの据え置きは利上げペース鈍化策の一環

米国では、労働市場の好調を背景に景気が底堅く推移しているが、FRBの利上げによる景気後退懸念が根強い。

23年6月13、14日のFOMCで、FRBは政策金利であるFFレート誘導目標レンジを5.00~5.25%に据え置くことを全会一致で決定した。強い労働市場、高いインフレが続いていたものの、大幅かつ迅速な利上げによって政策金利が引締め的な水準に引き上げられた影響のほか、米中堅銀行破綻による信用状況の引き締まりの影響を確認するため、FRBは11会合ぶりの据え置きが適切と判断した。

しかし、パウエルFRB議長は、「利上げ停止は引き締めペース鈍化の継続」との認識を示し、10会合連続で利上げを行ってきた段階から、利上げの間隔をあけることで、利上げペースをさらに鈍化させたと説明した。同時に、議長は引締め過ぎの回避を目指す段階に入ったと発言しており、FRBが景気への配慮を強めていることを示した。

インフレ見通しの上方シフトで追加利上げが適切に

6月に公表されたFOMC参加者による最新の経済・金利予測では、23年10-12月期の実質GDP成長率が1-3月期の上振れなどを受け上方修正されたほか、10-12月期のPCEコアデフレーター(PCEコア)は4月までの鈍い低下を受け+3.9%に上方修正された。このようなファンダメンタルズの見方の変化を受け、FOMC参加者によるFFレート誘導目標の23年末の見通し(中央値)は、5.625%と前回3月の5.125%から0.5%pt上方シフトした。パウエル議長は記者会見で、「参加者のほぼ全員が年末までに金利をある程度さらに引き上げることが適切になるとみている」と説明し、利上げ継続がFOMCのコンセンサスであることを強調した。ただし、議長は、「FOMC参加者の見通しは計画や決定ではない」と、今後も会合ごとにデータで追加の利上げが必要か否か判断を行う方針であることも強調した。

FRBは景気に配慮し慎重な政策運営を継続

インフレの基調を示すPCEコアは、5月に前年同月比+4.6%と鈍い低下を続けている。今後、米中堅銀行の破綻による銀行の融資基準厳格化の経済への影響が限定的なものとなる中、労働市場の逼迫が段階的な緩和にとどまり、コアインフレの鈍い低下が継続するとみられる。それでも10-12月期にFOMC参加者の予想中央値である+3.9%まで低下する可能性が高いため、FRBは25bpの追加利上げを年2回、鈍化したペースで実施すると予想される。その後、PCEコアが鈍い低下を続けても、実質ではFFレートの上昇が続き経済成長の抑制効果を強めていくため、FRBは景気に配慮し、政策金利の据え置きを続けよう。このため市場金利が低下し、景気後退は回避される公算が大きい。

図表1
図表1

図表2
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桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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