イベントカレンダー『各国の主要政治・経済イベント予定』(2026年5月号)

5月の各国主要政治・経済イベント

図表1
図表1

5月の政治・経済イベント「米国FRB議長の交代」

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)を主導し、記者会見等を通じて金融政策を発信することで世界経済に大きな影響を与えます。大統領が指名し、上院の承認を経て就任する仕組みで、任期は4年です。現職のパウエル議長は今年5月に任期満了を迎えますが、このトップ交代が今後の金融政策の行方を左右する焦点となっています。

トランプ大統領は後任に元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏を指名しましたが、執筆時点では、就任は大幅にずれ込む見通しです。最大の要因は、パウエル氏に対する異例の刑事捜査です。今年1月、司法省はFRB本部ビルの改修工事に絡む不正疑惑を理由に捜査を開始しました。しかし、これは利下げを迫る政権側がパウエル氏を揺さぶるための「政治的圧力」との見方が強く、3月には連邦地裁も「証拠不十分であり、不当な圧力目的である」として召喚状を無効化しました。それでも司法省は反発して法廷闘争を継続しており、中央銀行の独立性を重んじる上院議員らが「不当な捜査が完全に終結するまでウォーシュ氏の承認手続きを凍結する」と宣言したことで、議会手続きが停滞しています。

承認が間に合わない場合、慣例に従えばパウエル氏が暫定議長として留任します。しかし、トランプ大統領が過去の司法省の法解釈を盾に、別の現職理事を「議長代行」として強行指名するリスクも指摘されています。直近のFOMCでは政策金利が据え置かれましたが、足もとではイランとの軍事衝突による原油高や関税政策により、インフレ再燃リスクが高まっています。難しい舵取りが求められる中、トランプ政権の政治介入とトップ人事の停滞は金融政策の不確実性を高めるため、FRB議長の後任人事の行く末に世界中が注目しています。

(主席エコノミスト:阿原健一郎)


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。