時評『社長就任にあたりー新社名のもとで描く研究所の未来』

寺師 宗嗣

2026年4月に第一ライフ資産運用経済研究所の代表取締役社長に就任いたしました寺師宗嗣です。先月、当研究所は、社名を「第一ライフ資産運用経済研究所」へと改め、長年親しまれてきた「第一生命経済研究所」の伝統を受け継ぎつつ、「資産運用」と「経済」という二つの軸を掲げて新たな一歩を踏み出しました。長年にわたり当研究所の活動をご支援くださった皆さまに、まず心より厚く御礼申し上げます。本稿では、新たな船出にあたり、今後に向けた社長としての抱負を述べさせていただきます。

私自身のキャリアを振り返りますと、当社グループの海外業務、とりわけ欧州での経験が大きな比重を占めています。ロンドンを拠点に欧州保険規制の調査や市場分析、戦略投資案件の開拓・実行などに従事する日々を送る中で感じたことは、欧州の金融・資産運用業界は長期的な視点の基で個人の資産形成と経済成長の好循環を創り出しているという点です。実際、欧州では一般の個人が投資信託や年金基金を通じて積極的に資本市場へ資金を投じており、資産運用文化が浸透しています。その一方で、欧州の家計金融資産においては依然として約4割が預貯金として保有されているという現状もあります。個人マネーを如何に生産的な投資に向けさせるか――これは欧州でも議論が続くテーマです。

日本国内に目を転じれば、政府は本腰を入れて資産運用立国への地歩を固めようとしています。NISAの恒久化・拡充をはじめ、家計の資産形成や金融リテラシー向上を後押しする政策が次々と打ち出され、国を挙げて「貯蓄から投資へ」の流れが加速しています。こうした動きは、単に家計の金融行動の変化にとどまらず、企業の成長資金の循環や経済全体の活力にも関わる大きな構造変化の始まりと捉えるべきものです。資産運用を巡る制度や環境が大きく変わる今、日本は中長期的な視点から、家計・企業・市場のより望ましい関係を築いていく局面にあるといえます。私は、こうしたグローバルとローカル双方の大きな潮流を捉え、消費者や企業、政策当局にとって有益な知見を創出し続けることが当研究所の使命であると考えています。

私たち第一ライフ資産運用経済研究所は、資産運用を起点とした領域を研究テーマとする日本初のシンクタンクとして、社会とお客さま双方に価値を提供し、持続可能な経済発展に貢献していきます。例えば、資本市場を通じた機動的な成長資金の供給方法を研究し、企業のイノベーションや新産業の育成を後押しする知見を提供すること、また、個人の豊かなリタイアメント形成に資する金融商品・制度に関する分析を深化させること、さらに、国内外の経済動向や市場のトレンドを俯瞰しながら、政策提言につながるようなエビデンスベースの研究を展開することです。こうした多面的なテーマに果敢に挑み、得られた知見を第一ライフグループ内外に発信して参ります。

当研究所は力強いスタートを切りました。私たちは、これまでの先人たちの歩みに感謝しながら、新生・第一ライフ資産運用経済研究所の更なる飛躍に向けてチーム一丸となって邁進して参ります。今後とも当研究所へのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

寺師 宗嗣


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。