武器になる経済指標 武器になる経済指標

日経平均株価は10 月が苦手で11 月は得意?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう

  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう

  • 日銀は政策金利を12月に1.5%とした後、27年末までに2.25%とするだろう

  • FEDはFF金利を、年内は4.0%で据え置くだろう

  • 先週は世界的に株価が崩れるなか、日経平均株価は5.4%、3706円下落した。下落の背景としては、原油価格が高止まりするなか、米CPIが予想を上振れる結果となったことで、短期・長期金利が高止まりするとの懸念が生じたことが大きい。SOX指数が11.4%もの下落を記録するなか、日本株はAI・半導体主導で下落した。米新興AI企業のコアウィーブ社の株価と社債価格の下落もAI関連企業の財務体質に対する懸念を増幅させた。

  • もっとも、筆者が定点観測する台湾の輸出受注、日本の機械受注統計、韓国の輸出金額などは相変わらずの強さであり、直近の株価下落に疑問を投げかける動きとなっている。金利上昇が①株式の相対的な魅力を低下させる、②AI関連投資の縮小懸念に繋がる、という2つの経路で株価の打撃になっていることに疑いの余地はないが、これほどの下落となった背景には株式需給の悪さもあるだろう。例えば、米国では10月末に向けて投資信託の「損出し」が集中することによって売り圧力が強まることが指摘されている。米国では、原則として10月末までの1年間のキャピタルゲインが投資信託の課税基準となるため、税負担を軽減する目的で、投資信託内部での利益を減らす動機が働きやすい。10月末に向けて、実現益と相殺する損失を確定させるために、含み損を抱える保有株の売りが出やすいとされる。今年は、投資信託が年央に高値で掴んだAI・半導体関連銘柄の損出しが活発なのかもしれない。

  • ここで日経平均株価の季節性を確認すると、しばしば市場関係者に指摘されているとおり「夏場に弱く、冬場に強い」という傾向があるようにみえる。2005年以降の月次リターンの単純平均や中央値をとると、統計的な頑健性には乏しいものの、8月に弱含んだ後、年末に向けて強含んでいく傾向があるようにみえる。10月は平均値でみれば強い一方、中央値でみると、2月と3月に次ぐ弱さとなっている。

図表
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  • 次に日経平均株価(水準)に季節調整をかけてみると、7月から10月にかけて凹みが認められる。季節調整とは、毎年のように観察される季節的な変動を除去する統計処理のことである。たとえば百貨店では年末商戦、初売りの影響で12月から1月にかけて売上が増えやすい一方、2月は大型の販促行事が比較的少なく、売上が落ち着きやすい。こうした月ごとの規則的な変動を取り除いて平準化するのが季節調整であり、それによって前月比での比較が可能になる。本来、株式相場にそうした規則的な季節要因は存在しないはずであるが、現実には夏場に弱く年末にかけて強含むという感覚が多くの市場関係者に共有されており、相場用語でも「夏枯れ相場」「サンタクロース・ラリー」「掉尾の一振」など季節にちなんだものがある。そこで10月の数値をみると「平均的に1.2%下振れする季節性が推計された」という結果になっている。もっとも、年末にかけては強含む傾向があり、11月に+0.5%、12月に+1.6%の季節性が認められ、その強さは4月頃まで引き継がれる。

図表
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  • こうした季節変動には、世界の株式相場の方向感に重大な影響を与える米雇用統計が夏場に弱くなるという不可解な現象が関係しているかもしれない。雇用者数については、季節調整の難しさが指摘されており、2005年以降における1次速報値の増減の平均をとってみると、夏場に弱含む傾向が観察されている。もちろんデータ公表元の労働省労働統計局(BLS)は季節要因を取り除いた季節調整値を公表しているのだが、何らかの季節要因が残存している可能性が指摘されている。2026年も6月までは平均+9.3万人(1次速報値)だったものが、7~9月は+5.6万人に落ち込んだ。過去の季節性がそのまま再現されるなら、11月6日に発表される10月雇用統計では雇用者数の増加幅が加速し、景気拡大期待が強まることが予想される。金融市場の空気も好転するのではないか。

図表
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藤代 宏一


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