デジタル国家ウクライナ デジタル国家ウクライナ

1-3月期ユーロ圏GDP

~景気後退と景気底入れを同時確認~

田中 理

要旨
  • 4月30日に発表された1~3月期のユーロ圏の実質GDP成長率の速報値は前期比+0.3%、同年率+1.3%と3四半期振りにプラス成長を記録した。昨年10~12月期が改定前:同横這い→改定後:同▲0.1%に下方修正されたことで、2023年後半のユーロ圏がテクニカル・リセッション(2四半期連続のマイナス成長)に陥っていたことが確認。1~3月期は大きくリバウンドし、PMIなどの月次指標が既に示唆していた通り、景気の底入れを確認する内容。
  • 需要項目別の内訳は速報段階では公表されないが、既報の国別計数からは、金利上昇などが響いて投資活動の手控えが続くなか、インフレ率の鈍化と賃上げ加速による実質購買力の回復を反映した個人消費の拡大、海外景気の回復に助けられた外需が景気回復を牽引した模様。
  • 国別にはユーロ圏を構成する全20ヵ国がプラス成長を記録。建設投資と輸出に牽引されたドイツ(前期:同▲0.5%→今期:同+0.2%)が前期のマイナス成長から大きくリバウンド。個人消費や設備投資が牽引したフランス(同+0.1%→同+0.2%)、主要需要項目が揃って成長を後押ししたイタリア(同+0.1%→同+0.3%)が緩やかな成長を持続。個人消費、設備投資、外需が牽引したスペイン(同+0.7%→同+0.7%)が力強い成長を続けている。
  • 1~3月期の予想を上回る回復により、2024年の成長率の着地点が上振れする可能性が高まった。4~6月期以降の成長率が同横這いで推移すれば、ユーロ圏の年間の成長率は+0.3%。残り3四半期の平均が同+0.1%を上回れば、コンセンサス予想(+0.5%)に到達する。

図表を含めた詳細についてはPDFファイルをご覧ください。

田中 理


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

執筆者の最新レポート

関連レポート

関連テーマ