米国 4月雇用統計は労働市場逼迫の緩和継続を示す

~失業率の上昇、雇用者数の減速、賃金上昇率の鈍化など労働市場のバランス改善~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加ペース鈍化、失業率の上昇、平均時給の鈍化など労働市場のバランス改善を示す内容だった。
  • 4月の非農業部門雇用者数(事業所調査)が前月差+17.5万人(前月同+  31.5万人)と大幅に減速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の前月差+24.0万人(筆者予想同+25.6万人)を下回った。政府部門が前月差+0.8万人(前月同+7.2万人)と減速したほか、民間部門が前月差+16.7万人(前月同+24.3万人)と減速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の前月差+19.3万人(筆者予想同+20.2万人)を下回った。
  • 4月の失業率(U3、家計調査)は、3.9%(前月3.8%)と上昇し、市場予想中央値3.8%(筆者予想3.7%)を上回った。ただし、自然失業率と推計される4.1%を依然として下回っている。労働参加率は62.7%(前月62.7%)と横ばいにとどまった。 また、“現在は職探しをしていないが過去1年間に求職活動を行った人“と”正規雇用を探しているがパートタイムで働いている人“も失業者に含む広義の失業率(U6)は、7.4%(前月7.3%)と上昇した。さらに、高いほど労働市場の好調を示す自発的失業率が12.1%(前月12.8%)と低下するなど、労働市場の逼迫度合いが緩和したことを示している。
  • 4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加ペース鈍化、失業率の上昇、平均時給の鈍化など労働市場のバランス改善を示す内容だったうえ、市場予想以上の労働市場の逼迫緩和を示したことを受け、FF先物は24年に25bpの利下げ2回を再び織り込んだ。

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桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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