- HOME
- レポート一覧
- 経済分析レポート(Trends)
- 徹底解剖!アメリカ大統領選2024(1)
「徹底解剖!アメリカ大統領選2024」を含む米国大統領選挙に関するレポートの一覧は「テーマ別レポート一覧 | 米国大統領選」をご参照ください。
Q.米国大統領はどのように選ばれるか?
大半の州において、最多得票の候補がその州の全ての選挙人票を獲得する(勝者総取り方式)。選挙人を投票に応じて比例配分する場合、人口の多いカリフォルニア州などの影響が大きくなる一方、こうした総取り方式であれば大統領候補者は人口の少ない州にも選挙運動を展開する必要が生じやすい。なお、メーンとネブラスカの2州に限り、州全体と下院議員選挙区ごとのそれぞれ投票結果に基づき選挙人を配分する。また、州ごとの選挙人の配分は10年毎に実施される国勢調査(直近は2020年)の人口数に基づき見直される。
Q.大統領候補としての立候補資格は?
大統領選挙における各州の投票用紙には候補者名が印字され、有権者は候補者をマーキングすることで投票を実施する(注1)。投票用紙に名前を記載するためには州ごとの要件を満たす必要がある。具体的には国政選挙における所属政党の得票率、或いは一定数の署名などの条件があり、少数政党や独立の候補者には一定のハードルがある。2大政党以外の候補者が当選する確率は非常に低いと考えられるが、1992年の選挙では実業家のロス・ペロー氏が独立候補として出馬し18.9%の票を獲得した。
Q.大統領選に関わる重要イベントは?
-
スーパーチューズデー(3月5日):2~3月の火曜日にある予備選・党員集会の集中日。民主・共和両党における指名候補争いのヤマ場であり、各州・地域に割り当てられた代議員の3分の1以上の票が決まることもある。
-
全国党大会(共和党:7月15~18日、民主党:8月19~22日):大統領選挙がある4年に1度開催され、2大政党の大統領候補が正式に指名される。事前の予備選において指名候補はほぼ確定しているため、大統領候補が指名受諾演説などを通じて有権者へアピールする意味合いが大きい。また、党の選挙公約である政策綱領が採択されることが多いほか、副大統領候補が未公表の場合には全国大会にて判明する。
-
大統領選挙投開票日(11月5日):11月の第1月曜日の翌日火曜日に実施される。勝敗は日本時間の翌日昼頃から夕方にかけて判明することが多いものの、一部の州は接戦の際に投票の再集計を義務付けており、結果判明に時間を要する場合がある。例えば、2020年は郵便投票が多かったためバイデン氏の勝利宣言が投票日の4日後となった一方、2000年はフロリダ州の再集計を巡る法廷闘争へと発展し12月中旬に漸く勝敗が決着した。また、全議席が改選される連邦下院選挙、約3分の1議席が改選される連邦上院選挙も同時に実施される。
-
選挙人投票(12月17日): 12月の第2水曜日後の火曜日に各州で選ばれた選挙人が投票を実施し、大統領選の正式な勝敗が確定する。選挙人538人の投票で過半数(270人以上)を得た候補がいない場合、1月招集の下院議会で大統領(各州代表による投票)、上院議会で副大統領(議員100人による投票)をそれぞれ選出する。
-
新大統領就任(2025年1月20日):米国大統領の任期は選挙翌年の1月20日から開始される。同日に就任式を実施することが多く、就任演説では新政権の政策方針を示す。
【注釈】
- 一部選挙区では電子投票機が用いられるものの、機械の誤作動やハッキングの懸念が強く、有権者が投票用紙にマークを書き込み、これらを電子集計機でスキャンする選挙区が多い。また、多くの州では空白欄に名前を書き込むことで名簿以外の候補者にも投票が可能である。
【参考文献】
トーマス・H・ニール(2010)「選挙人団制度―現代の大統領選挙における選挙人団制度の役割」CRS Report for Congress
(参照 2024-3-5)
前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 前田 和馬
まえだ かずま
-
経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析
執筆者の最新レポート
関連レポート
-
徹底解剖!アメリカ大統領選2024(6) ~選挙に必要なお金~
米国経済
前田 和馬
-
米国 内需堅調、高インフレ持続で利下げ観測後退 (24年1QGDP:1次推計、予測) ~金融環境の引き締まりの継続で米経済は減速しコアインフレ低下へ~
米国経済
桂畑 誠治
-
2024年5月FOMCプレビュー ~量的引き締めの減速を決定する見込み~
米国経済
前田 和馬
-
米国経済マンスリー:2024年4月 ~好調な実体経済とインフレ上振れを背景に、利下げ開始予想は後ずれ~
米国経済
前田 和馬
-
バイデン政権下で流入する730万人の不法移民 ~アメリカ人は移民に依然好意的だが、トランプ2.0で移民の大流出へと転じるリスク~
米国経済
前田 和馬