ニューハンプシャー州予備選でトランプ連勝

~ヘイリー氏の形勢逆転は困難~

前田 和馬

要旨
  • 11月の米国大統領選に向けた共和党指名候補争いの第2戦であるニューハンプシャー州予備選では、トランプ前大統領が初戦のアイオワ州に続き勝利した。
  • フロリダ州のデサンティス知事が既に撤退した一方、唯一の対トランプ候補であるヘイリー元米国連大使は苦戦を強いられている。ヘイリー氏は選挙戦を続ける意向を示しているが、2/24の地元サウスカロライナ州予備選で勝利できなければ、選挙戦からの撤退を余儀なくされる可能性が高い。
  • ヘイリー氏がこうした劣勢を覆すのは難しく、トランプ氏が共和党予備選で勝利する確率は非常に高い。とはいえ、トランプ氏が複数の刑事裁判を抱えるなか、7月の共和党全国大会にて正式に大統領候補として指名される道程には依然不透明感が残る。

2024年米国大統領選挙における共和党指名候補争いの第2戦である東部ニューハンプシャー州予備選が1/23に実施され、トランプ前大統領が54.3%の票を獲得し初戦のアイオワ州党員集会に続き勝利した(開票率95%)。同州は共和党穏健派が多いと考えられるが、こうした有権者構成にあってもヘイリー氏の得票率は43.3%とトランプ氏に及ばなかった。

属性別の投票行動を見ると、トランプ氏が性別・年齢・人種を問わずに過半数の支持を獲得している(図表1)。ヘイリー氏は白人大卒者や中道派などの一部に支持が高かったものの、予備選投票者に占める割合では白人非大卒者や保守層の方が大きく、こうした属性では圧倒的にトランプ氏への支持が多かった。

2024年米国大統領選に向けた共和党指名候補争いを巡っては、デサンティス・フロリダ州知事が1/21に撤退を表明しており、既にトランプ氏とヘイリー氏の一騎打ちの構図となっている。ヘイリー氏はニューハンプシャー州での敗北後も選挙戦を続ける意向を示しており、2/24に実施されるサウスカロライナ州予備選に注力する方針だ。ヘイリー氏は2011-17年に同州の知事を務めた経験があり、仮に地元でトランプ氏に敗北する結果となれば、選挙戦からの撤退を余儀なくされる可能性が高い。なお、同州の世論調査ではトランプ氏の支持が52.0%と、21.8%のヘイリー氏を大幅に上回っており、こうした圧倒的な劣勢を逆転することは困難と考えられる。

初戦2州の結果、及び足下の世論調査を踏まえると、トランプ氏が共和党予備選で勝利する確率は非常に高い。とはいえ、3月には複数の刑事裁判が始まるため(現時点では3/4が議会襲撃事件、3/25が不倫口止め料、5/20が機密文書保持を巡る初公判)、7/15-18開催の共和党全国大会にてトランプ氏が正式に大統領候補として指名される道程には依然不透明感が残る。

図表1
図表1

図表1:ニューハンプシャー州予備選における属性別の投票行動
図表2
図表1:ニューハンプシャー州予備選における属性別の投票行動
図表2

図表3
図表3

図表4
図表4

図表5
図表5

図表6
図表6

以上

前田 和馬


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前田 和馬

まえだ かずま

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析

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