都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2023/12)

~着々と進むディスインフレ~

星野 卓也

要旨
  • 本日公表された12月都区部CPIを用いて、日銀が全国CPIをもとに公表している刈込平均値・加重中央値・最頻値を試算した。11月に続いて12月も3指標がいずれも伸び率低下。夏場をピークに着々とインフレ率の低下が進んでいる。
目次

都区部版の3指標はいずれも伸び率低下

以前のレポート(末尾の参考文献参照)で試算した東京都区部版の基調的インフレ率3指標について、本日公表の12月都区部CPIを用いて計算した。刈込平均値(全国ウェイト換算)は11月:+2.6%→12月:+2.4%、加重中央値(全国ウェイト換算)は11月:+1.0%→12月:+0.9%、最頻値は11月:2.8%→12月:+2.3%となった(いずれも前年比)。11月と同様に、3指標いずれの指標も伸び率は低下している。

全国CPIの日銀試算値においても、11月の刈込平均値・加重中央値・最頻値はいずれも伸び率が低下した。筆者試算の都区部の値と日銀試算の全国の値は、上昇品目やウェイトの違いなどから一部水準に乖離はみられるものの、方向感は一致している。今回筆者試算値を踏まえると、12月の日銀試算値もディスインフレが着実に進んでいることを示す結果となりそうだ。

現状、2%を超えている刈込平均値や最頻値も先行き2%を割れることが予想される。マーケットでは4月のマイナス金利解除が有力視されているが、少なくともこの時点で「2%インフレ目標達成」を理由に解除に踏み切ることは難しいだろう。解除に踏み切る際には「行き過ぎた緩和の是正」などその他の理由付けにならざるを得ないとみている。

図表1
図表1

図表2
図表2

星野 卓也


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

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