1月予告、3月マイナス金利解除を予想

藤代 宏一

植田総裁の記者会見を踏まえ、日銀の金融政策を以下の通り予想する。

  • 1月23日の金融政策決定会合において何らかの形で政策変更の検討を明示的に伝達

  • 3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除を決定

<背景>

  • 植田総裁は12月の金融政策決定会合後の記者会見で、マイナス金利解除の環境が「もう少し」で整う可能性があるとの認識を示した。「まだ距離がある」などと、やや強めの言葉で否定していた従来の姿勢から変化が見て取れる。

「(物価目標実現に向けた判断の閾値などについて)確度は少し上がってきているけれども、閾値に達するまでにはもう少しデータや様々な情報をみたいなというところでございます」

  • また政策変更がサプライズを引き起こすことの是非、或いはそれを回避するために政策変更を事前に示唆するか等について総裁は以下の通り回答した。

「政策変更、政策修正は、毎回の決定会合で議論して決まるものですので、1 回の決定会合からその次の決定会合までに新しい情報がたくさん入ってくれば、それはその次の決定会合で政策修正や政策変更があり得るということですし、それは前の会合では必ずしも予想できなかったものということになりがちですので、サプライズは必ずしも避けられないということに一般論としてなるかと思います。ただし、新しい情報をどういうふうに使って政策判断をしていくのかという基本的な考え方については、常日頃からできる範囲で丁寧にご説明する、している、しようと努めているつもりですので、それをお使い頂いて、皆さま方の方で予想して頂くということは、完全にはできないにしても、ある程度できるのかなというふうに思っております」

「利上げをすることになるときに予告するかどうかというご質問だと思いますが、これは繰り返しになりますが、データや情報をどういうふうに活用するかという私どもの考え方を繰り返しご説明していくということですし、それに今後の展開に応じて付け加えられるような、こういう見方もあるということが出てくれば、それも適宜追加的に情報発信をしていきたいと思いますが、来月上げますよということをいきなり言いますということになる可能性は、あまりないかなと は思っております。

これらは飽くまで一般論を述べたに過ぎないが、マイナス金利解除については階層構造方式の見直し等、事前に周知した方が望ましい事項がある。これらを踏まえると、1月会合におけるマイナス金利解除はやや唐突感が否めない。仮にそうした決定があった場合、市場参加者は次なるサプライズを織り込んでしまいYCCが崩壊するなどといった非劇も想定せざるを得ない。だとすれば1月会合で何らかの形で予告をし、その上で3月会合において政策変更という流れが考えられる。予告はフォワードガイダンス修正か「議長が金融政策の見直しについて検討を指示した」といった形式が考えられる。なお、筆者はFedが利下げ方向に政策転換をした方が円金利の安定が保ちやすいとの観点から、日銀の出口戦略が容易になると考えている。

藤代 宏一


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