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【1分解説】賃上げ促進税制とは?

岩井 紳太郎

  音声解説

賃上げ促進税制とは、企業が従業員の給与等を増加させた場合に、その賃上げ額の一部を法人税等から税額控除できる制度です。控除率は賃上げ、教育訓練や、子育てとの両立・女性活躍支援等への取組みに応じて決まります。「成長と分配の好循環」の実現に向けて企業が得た収益を従業員に還元するよう、賃上げを促進することが目的です。

賃上げ促進税制は、2022年4月に創設され、2024年4月より「令和6年度税制改正の大綱」において改正されました。改正において、従業員が2,000人以下で従来の大企業と中小企業の間に位置する「中堅企業」枠を新設し、新たな優遇策を設けています。また、最大税額控除率は、大企業・中堅企業は35%、中小企業は45%にアップしました(改正前は大企業・中堅企業は30%、中小企業は40%)。さらに、厚生労働省から女性活躍や子育て支援に積極的であると認定された企業についても控除率が上乗せされることになりました。

2023年度の春季労使交渉の賃上げ率は30年ぶりの高水準を記録しました。2024年は中小企業も含めて賃上げ機運がさらに高まっており、昨年度を上回る賃上げ率となる見込みです。今後、賃上げ促進税制等を通じて構造的・持続的な賃上げが実現し、長年続いたデフレから完全脱却できるのか注目が集まります。

この解説は2024年4月時点の情報に基づいたものです。

岩井 紳太郎


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