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【1分解説】大学無償化とは?

谷口 智明

  音声解説

大学無償化とは、世帯年収や学業等の一定基準を満たす学生に対し、国が高等教育(大学・短期大学・高等専門学校(4~5年生)・専門学校)の授業料や入学金の減免、給付型奨学金の支給により、教育費負担を軽減することを指します。この仕組みは、2020年4月に消費税を財源とする「高等教育の修学支援新制度」として導入されました。

さらに、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」では、高等教育費の負担により理想の子ども数を持てないとの状況を払拭するため、扶養する子どもが3人以上の多子世帯の学生に対し、授業料と入学金を所得制限なしに無償化することが明記されました。支援の上限は現行制度と同様で、対象学生に係る学業要件等の見直しを検討した上で、2025年度より拡充される予定です(資料1)。

人口減少が進む中、大学無償化は、経済的な理由で進学が難しい若者への教育機会の均等性を高め、社会で活躍できる人づくりに寄与するとともに、少子化対策の一つとして、経済状況に関わらず理想の子ども数を持てる社会を実現するといった両面からの効果が期待されます。但し、子どもが3人いる場合、第1子が就職等で扶養から外れると、第2子、第3子は対象外となることに留意が必要です。また近年、2人の子を持つ世帯の割合が大きく減少しており(資料2)、第2子に焦点を当てた支援の拡充も求められるのではないでしょうか。

資料1
資料1

資料2
資料2

この解説は2024年1月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

谷口 智明

たにぐち ともあき

総合調査部 研究理事
専⾨分野: 財政・社会保障、教育

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