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【1分解説】診療報酬改定とは?

谷口 智明

  音声解説

診療報酬改定とは、医療機関が提供する医療サービスや医薬品等の公定価格を見直すことです。診療報酬は、医師等の人件費や技術料といった医療サービスにあたる「診療報酬本体」と医薬品や医療材料の価格にあたる「薬価等」に分かれており、公的医療保険制度の下、保険料や税、患者の自己負担によって賄われています。

診療報酬本体は2年毎、薬価は市場価格を適時反映させるため毎年改定が行われます。改定率は国の予算編成過程を通じて内閣により決められ、個々の価格は中央社会保険医療協議会(中医協)での議論を踏まえて、厚生労働大臣が決定します(資料)。

例えば、2021年度の国民医療費は約45兆円です。そこで、仮に診療報酬が1%引き上げられると、約4,500億円の国民負担増となります。診療報酬改定は、医療サービスの提供体制や医療資源の配分、医療の質向上等の観点からも重要な役割を果たしています。

なお、2024年度は診療報酬に加え、介護報酬(介護サービス提供者への対価)、障害福祉サービス等報酬(障害福祉サービス提供者への対価)の「トリプル改定」が行われます。DX推進等により効率化・適正化を進めるとともに、必要に応じ治し支える医療や個別ニーズに寄り添った介護・福祉の実現に寄与するメリハリの効いた改定となることが期待されます。

資料 近年の医療費の伸び率と診療報酬改定率等の推移
資料 近年の医療費の伸び率と診療報酬改定率等の推移

この解説は2023年11月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


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