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【1分解説】ネイチャー・ベースド・ソリューション(NbS)とは?

牧之内 芽衣

  音声解説

自然の力を利用して、生態系と人間いずれにも利益をもたらす方法で社会的課題を解決することをネイチャー・ベースド・ソリューション(Nature-based Solutions、NbS)といい、日本語では「自然に基づく解決策」と訳されます。

例として、マングローブ林の保全によって洪水被害が軽減できることなどが挙げられます。国際自然保護連合(IUCN)が2009年より提唱を始めた考え方で、気候変動対策への寄与のほか、生物多様性の保全に向けた対策としても期待されています。

2020年には普及・実践を目的として、IUCNが世界標準の枠組みを策定しました。

生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価する政府間組織「IPBES」は、2030年までの地球の平均気温上昇を2℃以内に抑えるための気候変動緩和策のうち、37%はNbSにより解決できるとの考えを示しました。一方で、気候変動問題はNbS単独で解決できるものではなく、化石燃料使用の段階的な廃止が先決です。

NbSの認知が広まることで、環境保全は必ずしも人々に不便を強いるのではなく、様々な便益を提供し得るという認識が広まることが期待されます。

※本稿は、週刊エコノミスト(10月3日号)への寄稿を基に作成しています。

この解説は2023年11月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


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