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【1分解説】ネイチャーポジティブとは?

牧之内 芽衣

  音声解説

ネイチャーポジティブとは、多様な生物や空気、水、土壌といった、人々に便益をもたらすストック(自然資本)の毀損に歯止めをかけ、将来的には回復軌道に乗せようとする取組みのことです。

2021年に英国財務省が公表した「生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー」では、1992~2014年の間に、自然資本が40%減少したことが発表され話題になるなど、自然資本の毀損が社会問題となっています。

生物多様性そのものについては、1992年に採択された国連生物多様性条約(CBD)でもその持続可能な利用が目的に盛り込まれるなど、長らく注目されてきました。

ネイチャーポジティブという表現が使われ始めたのは2020年代に入ってからです。2020年に世界経済フォーラム(WEF)が「自然の損失によって、世界のGDPの半分以上にあたる約44兆ドルが潜在的に脅かされている」と発表し、注目されました。

沿岸域の藻やサンゴ礁などの多様な生態系は、それ自体がさまざまな海洋生物を育むゆりかごとしての役割も果たしているほか、CO2を吸収する働きもあるなど、ネイチャーポジティブは気候変動対策ともきわめて深い関係にあります。

※本稿は、週刊エコノミスト(10月3日号)への寄稿を基に作成しています。

この解説は2023年11月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


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