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【1分解説】里地里山とは?

牧之内 芽衣

  音声解説

里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落や水田、干潟、ため池、草原などで構成される地域のことです。人々が里地里山から得る恵みを「生態系サービス」といい、食料や木材の供給、景観、文化の伝承などがこれに当たります。里地里山は人々による長年の利用や干渉の結果形成される自然であるため、手つかずの自然とは異なります。一般的に落葉樹が多く、定期的に伐採が行われるため、林の中が比較的明るく保たれることも、特有の生態系に影響しています。

近年、人口の減少や高齢化に加え、産業構造が変化して樹木の伐採が減少したことなどによって、農林水産業などの営みによる里地里山の維持が困難に直面しています。

これを受け、環境省は里地里山のような自然環境を維持し、自然共生社会を世界で実現することを目的として「SATOYAMAイニシアティブ」を推進しています。

東洋的自然観による自然共生社会の概念にはかつて西欧諸国からの批判もありましたが、アフリカなどの発展途上国が支持したことにより、2010年に愛知県で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)でSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)が創設されました。

※本稿は、週刊エコノミスト(10月3日号)への寄稿を基に作成しています。

この解説は2023年11月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


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