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【1分解説】NCQG(New Collective Quantified Goal)とは?

田村 洸樹

  音声解説

NCQG (New Collective Quantified Goal)は「新規合同数値目標」と直訳され、先進国から途上国に対して提供する気候変動に関する資金の2025年以降における新たな金額目標を指します。現行目標が「2025年目標」と呼ばれていることから、NCQGを「ポスト2025年目標」と呼ぶ場合もあります。

現行の2025年目標は、2009年のCOP15(第15回国際気候変動枠組条約締約国会議)において先進国が発表した「2020年までに年間1000億米ドルの資金を途上国に動員する」との約束に基づいています。しかし、実際の2020年実績は833億米ドルと目標に届かず、達成時期は2025年に延長されました(注)。

ポスト2025年目標であるNCQGの合意に向けて、2022年から技術専門家対話(TED:Technical Expert Dialogue)が開始されました。現在の目標金額である1000億米ドルを下限として、新たな金額目標や達成時期が検討されています。

最近では、海面上昇や激甚災害等による人的・経済的被害が、特に途上国において頻発・深刻化しています。気候変動に対処するための資金を途上国に動員する重要性は、今後ますます高まると見られており、NCQGの議論の行方が注目されています。

(注)実際には2020年を待たずして2015年のCOP21時点で延長が決定している。

この解説は2023年10月時点の情報に基づいたものです。

田村 洸樹


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