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【1分解説】アニマルウェルフェアとは?

田村 洸樹

  音声解説

アニマルウェルフェアは「動物の生死の状態に関わる身体的・精神的状態」と定義され、一般的には、人の管理下にある動物のQOL(生活の質)やWell-being(幸福度)を確保することを指します。

似た意味をもつ言葉には「アニマルライツ(動物の権利)」と「動物愛護」があります。アニマルウェルフェアは、人による動物の利用を否定せず、科学的・客観的な事実に基づく概念である一方、アニマルライツは人による動物の利用を否定し、動物愛護は人の主観的・感情的な要素が優先される点で、大きな違いがあります。

アニマルウェルフェアは、欧米を中心に発展してきた概念と言われています。日本をはじめとする国際レベルでは、まだ発展途上の段階にあるテーマだと捉えられていましたが、企業の責任ある行動(RBC:Responsible Business Conduct)の国際スタンダードである「OECD多国籍企業行動指針」が改定され、初めてアニマルウェルフェアが言及されたことを受けて、国際的な関心が急速に高まっています。

日本でも、今年7月、農林水産省が「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」を策定し、国としての指針を初めて公表しました。SDGs・ESGといった社会課題の解決に向けて、アニマルウェルフェアの概念が日本国内でも浸透・定着していくのかが注目されます。

この解説は2023年9月時点の情報に基づいたものです。

田村 洸樹


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