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AIはToDoリストを作成できるのか

~もう悩まない!やることリストを自動生成してくれるAIの可能性~

柏村 祐

目次

1. ToDoリストの重要性

ToDoは、「いつかするべきこと」や「しなければならないこと」を指す表現である。これらを管理する方法として「ToDoリスト」が存在する。ToDoリストは、やるべきことをリスト化することで何をすれば良いのか明確になり、また何をしなくても良いのかも明らかになる。このようにリスト化することにより、無駄な作業を減らす効果も期待できる。ただ、リストの作成や管理には時間と労力がかかる。そのような作業を支援するAIとして、ToDoリストAIが登場した。これは、ToDoリストの作成や管理といった面倒なタスクを自動化し、利用者の手間を大幅に軽減する。より効率的なタスク管理が可能となり、生産性向上に繋がる。

本稿では、ToDoリストAIについて概観し、その可能性を探る。

2. ToDoリストAIの実態

ToDoリストAIは、利用者がやるべき仕事をAIに入力することで、最適なToDoリストを提案する能力をもつ。したがって、ToDoリスト作成に手間を感じる人でも、気軽かつ簡単にToDoリストを生成することができる。

以下では、「新しいオフィスに引っ越す」と「チームで企画書を作成する」と「本を出版する」の3つの仕事を想定し、ToDoリストAIの性能を検証する。

まず、「新しいオフィスに引っ越す」について、ToDoリストAIに指示を出し、タスクの詳細度合いを設定して実行すると、ToDoリストが生成された。ToDoリストの詳細度合いが最低レベルの設定でタスクを生成したところ、8項目のリストが出力された。一方、詳細度合いを最高レベルとしてタスクを生成すると、20項目のリストが出力された。さらに、AIは出力された各項目に要する時間も計算した。利用者は、AIが推薦する項目を順に実行していくだけである(図表1)。また、ToDoリストAIが生成したリスト内容を変更したい場合、自由にリストの編集を行うこともできる。

次に、「チームで企画書を作成する」について、ToDoリストAIに指示したところ、最低レベルのリスト生成設定で10項目、最高レベルでは33項目のリストが生成された。また、たとえば出力された「チームメンバーと意見を共有する」という項目について詳細化を指示したところ、細分化した3項目のリストが追加で生成された(図表2)。

さらに、「本を出版する」についてToDoリストAIに指示したところ、最低レベルのリスト生成設定で10項目、最高レベルでは、25項目のリストが生成された。リスト項目をすべて完了した場合、完了チェックを行うと、ToDoリストでの進捗状況が可視化された(図表3)。

以上のような機能の活用は、自己の目標達成に向けてモチベーションを高め、業務効率を向上させる助けとなる。ToDoリストAIは、利用者の要望に応じてリストを編集でき、業務の進捗に合わせて調整も可能である。このようなToDoリストAIの利用は、仕事の進捗を大いに支援するだろう。

3. ToDoリストAIの可能性

ToDoリストAIのメリットは、やることが自動で書き出され、必要な時間も計算してくれる点にある。特にタスクの優先順位付けや進捗の見える化といったToDoリストの本来の機能を、利用者が手間をかけることなく利用できるのが大きな利点である。

また、タスクの詳細度合いを利用者が設定できるため、目標に対する具体的な行動項目を明確化できる。さらに、AIがタスクの所要時間を計算することで、時間管理がより容易になり、効率的な業務遂行をサポートする。加えて、AIによって自動生成されるToDoリストは編集可能であり、状況の変化に応じて柔軟にタスクを調整できる。

このように、ToDoリストAIはその便利さと自動化機能により、業務効率化を後押しし、目標達成への道筋を照らす力を内包している。タスク管理の手間を大幅に軽減するこのツールにより、利用者は本質的な業務や創造的な活動に集中できるようになる。これは、業務の生産性向上に好影響を与えるだろう。

また、ToDoリストAIは組織全体の生産性向上にも寄与することが期待できる。それぞれのメンバーがAIにより最適なタスクリストを生成し、共有することで、チーム内のタスクの進捗状況や負担分担が一目でわかる。これにより、チーム全体の調整作業が容易になり、効率的に業務を遂行できる。さらに、ToDoリストAIが生成するリストにもとづく業務の進捗状況は、業務遂行の透明性を向上させ、公平な職場環境を創り出すことにつながる。

また、ToDoリストAIは個々のタスクに対する時間の見積もりを提供し、利用者の時間管理を助ける役割も果たす。これは、ToDoリストAIの利用を通じて時間管理スキルを磨くきっかけを提供するという点で、利用者の自己成長に寄与する。しかしながら、ToDoリストAIの能力を最大限に活かすためには、利用者自身の理解と活用が求められる。AIが生成するタスクリストや時間見積もりはあくまで参考情報にとどまり、実際には利用者自身の判断と経験に基づく補正が必要である。また、AIは利用者が入力した情報にもとづいて動作するため、情報の適切な入力と管理が必要となる。

ToDoリストAIは我々が目標達成の道筋を見つけ、業務効率化を達成する一助となるツールである。最大限活用するには利用者の理解とスキルが必要だが、ToDoリストAIの活用が広がれば、大きな業務効率化につながるものと思われる。

柏村 祐


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

柏村 祐

かしわむら たすく

ライフデザイン研究部 主席研究員 テクノロジーリサーチャー
専⾨分野: AI、テクノロジー、DX、イノベーション

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