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【1分解説】三位一体の労働市場改革とは?

白石 香織

  音声解説

「三位一体の労働市場改革」とは、2023年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」において示された、「①リ・スキリングによる能力向上支援」、「②個々の企業の実態に応じた職務給の導入」、「③成長分野への労働移動の円滑化」の3つを柱とする政府の新しい改革の方向性を示すものです。

「①リ・スキリングによる能力向上支援」では、現在、在職者への学び直し支援の約75%が企業経由の給付となるなか、過半を個人経由とする方向性が示されました。また、「②個々の企業の実態に応じた職務給の導入」では、職務給導入の参考となる事例集を年内に取りまとめるとしています。さらに「③成長分野への労働移動の円滑化」では、リスキリングを条件に、自己都合離職時の失業給付受給時期を会社都合と同様とする議論の方向性が示され、自己都合の場合に退職金が減額される企業の労働慣行や退職所得課税制度の見直しも行われる予定です。

政府はこれらの3つの改革を一体で進め、成長分野への労働移動を進めることで持続的な賃上げの実現を目指しています。こうした動きは、「雇用維持」から「労働移動」を軸とする労働政策への転換の表れともいえます。

この解説は2023年7月時点の情報に基づいたものです。

白石 香織


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