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【1分解説】「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」とは?

河谷 善夫

  音声解説

東証は2023年3月末にプライム、スタンダード市場上場全社に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」という要請を行いました。

企業は持続的成長に向け、資本コスト・資本収益性を意識した経営が求められます。しかし現状、我が国は主要企業でも、ROE(自己資本利益率)、PBR(株価純資産倍率)の水準が欧米に比べ劣後しており(資料)、この改善が課題となっています。

この要請により、企業はまず取締役会で現状分析として自社の資本コストや資本収益性の把握を行い、その内容や市場の評価について分析・評価します。そして改善への方針や目標・計画期間、具体的な取組みを策定し、その内容を現状評価とともに開示します。さらに計画に沿って経営を推進しつつ、開示に基づいた投資家との積極的な対話を行い、さらなる分析に繋げるというサイクルを続けます。毎年1回以上は進捗状況を分析し、開示をアップデートすることとされています。

この取組みは強制ではなく要請であるものの、対象企業は、出来るだけ早く、何らかの形で開示することとされており、東証も秋には状況のレビューを行う予定です。今後の各社の開示内容や投資家との対話の状況が注目されます。

図表1
図表1

この解説は2023年7月時点の情報に基づいたものです。

河谷 善夫


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。