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【1分解説】ファイナンスド・エミッションとは?

河谷 善夫

  音声解説

ファイナンスド・エミッションは、金融機関の投融資先の温室効果ガス排出量です。GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)傘下の金融同盟に賛同する投資家・金融機関は、2050年までにファイナンスド・エミッションを含め排出量をネットゼロとすることが求められており、この削減の取組みが進んでいます。

算出方法は主に、2020年11月に公表されたPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)の基準に則っています。株式、社債など8つの投資が対象で、その金融機関の全ての投融資先について、「各投融資金額」を「その投融資先の株主資本・負債総額」で除した数値であるアトリビューション・ファクターに、「当該投融資先の排出量」を掛けた数値を出し、これを合計して算出します。投融資先の排出量として直接・間接排出量であるScope1、2は算入が必須であり、その他排出量のScope3はアセットクラスにより対応は異なります。

現在ファイナンスド・エミッションについて、トランジションファイナンスのうち、多排出産業への脱炭素移行支援に向けたものや、メーカー等の自社の排出量は増加するもののその製品により社会全体の排出量削減に繋がるものを阻害するなどの問題が認識されており、国内外で計測方法や開示手法の工夫についての検討が進んでいいます。

図表1
図表1

この解説は2023年6月時点の情報に基づいたものです。

河谷 善夫


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。