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【1分解説】出力抑制とは?

牧之内 芽衣

  音声解説

出力抑制とは、電力の供給が需要を上回って周波数のバランスを崩さないよう、あえて発電を停止する措置のことをいいます。

電力系統においては、電気を使う量(需要)と発電する量(供給)のバランスが崩れると、周波数が乱れて停電するおそれがあります。太陽光や風力といった再生可能エネルギーは天候によって発電量が変動するため、需要とのつり合いを保つためには調整が必要です。

近年、太陽光発電の増加に伴って、昼間の発電量がエリア内の電力需要を上回る事態が発生しています。その場合、国が定めた「優先給電ルール」という順序に従って出力抑制が行われます。まずは火力発電の出力抑制が行われ、次に水力発電所での水の汲み上げに電力を使用し、他のエリアへの送電が行われます。それでも発電量が需要を上回る場合は、太陽光発電や風力発電の出力抑制が行われます。再生可能エネルギーを捨てることになりますが、発電事業者への補償はありません。原子力や水力、地熱発電などはいったん停止すると復旧まで時間を要するため、出力抑制の順序は最後です。

出力抑制を減らすためには、大型の蓄電池を導入して余った再生可能エネルギーを溜めるほか、出力抑制が想定される時期に電気代を安くするといった需要のコントロールも有用です。

この解説は2023年6月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


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