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2023.06.15
SDGs・ESG
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【1分解説】トランジションとは?
牧之内 芽衣
トランジションは日本語で「移行」を意味する言葉です。転じて、持続可能な社会への移行を意味するようになりました。特に、新設の火力発電所を多く有する新興国や、鉄鋼・運輸といった多排出産業(温室効果ガスを多く排出する産業)など、一足飛びに脱炭素化することが難しい国や産業の段階的な脱炭素化を指します。
具体的には、既存の火力発電所の設備を利用しつつ、化石燃料に水素やアンモニアを混ぜて燃焼させることでCO2を削減できる「混焼」や、工場における温室効果ガスの排出削減が可能となる新しい設備への入れ替えなどが挙げられます。
これらに対する資金提供「トランジション・ファイナンス」は、脱炭素化への支援として期待される一方、多排出産業への資金提供として批判される場合もあります。経済協力開発機構(OECD)はこれを受け、2022年10月に「トランジション・ファイナンスのための手引き」を公表し、「中間目標の設定」や「数値指標やKPI(評価指標)を通じた進捗の把握」など10の要件を示しました。
発電電力量の7割を火力発電で賄う日本はトランジション・ファイナンスを世界に広めたい考えで、経済産業省は2023年3月にアジアのトランジションへの支援と政策協調を目的とした「アジア・ゼロエミッション共同体閣僚会合(AZEC)」を開催しました。
※本稿は、週刊エコノミスト(5月23・30日合併号)への寄稿を基に作成しています。
この解説は2023年6月時点の情報に基づいたものです。
牧之内 芽衣
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。