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教育振興基本計画とは(2)

~教育DXと学校教育における企業の役割~

鄭 美沙

要旨
  • 前稿で「次期教育振興基本計画について(答申)」(以下、次期計画)のコンセプトの一つである「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」について取り上げた。本稿では、次期計画の特徴と考えられる「コロナ禍による変化(教育DX・グローバル)」と「学校と社会のつながり」を解説する。
  • 前計画期間中に、教育に大きなインパクトを与えた事象は新型コロナウイルス感染症の拡大である。中でも、学校におけるICT利活用とその必要性への認識が急激に広がり、「教育DX」を進める契機となった。次期計画では、教育DXの推進が基本的な方針の一つとなり、基盤としてのICT整備ではなく、教育のありよう自体の変革が意図されている。
  • コロナ禍で海外留学や留学生の受入れが滞り、「グローバル化」にも負の影響が生じた。次期計画は「グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」を方針の一つとし、国際交流の促進やグローバル社会で活躍する素養の育成施策等が挙げられた。「グローバル化」はいま改めて喫緊の課題だ。
  • 次期計画では、社会との関連が深いキーワードが頻出しており、「学校と社会のつながり」が重視されている。実社会に関わる学びやリカレント教育が進められていることや、学習指導要領で掲げられた「社会に開かれた教育課程の実現」という理念が反映されたことが窺える。
  • 学校教育における企業の役割も拡大している。キャリア教育のみならず、各教育段階における実践的な教育の提供などが求められている。次期計画は学校だけでなく社会全体に関わるものであることを多くの企業人が理解するとともに、文部科学省は幅広い主体への広報活動が必要である。
  • 今後、次期計画の内容を学校現場に浸透させるには、次の学習指導要領への反映が必要になる。また、企業の教育現場への関わりを持続可能なものにするには、ボランティア頼みにならず、幅広い企業が参画可能な仕組み作りを産官学で進めるべきだ。次期計画期間の5年の間にも様々な変化が生じうるため、フォローアップと見直しを図りながら、計画が実現されることを期待する。
目次

1. 教育振興基本計画

2023年3月8日に開催された文部科学省の中央教育審議会総会にて、「次期教育振興基本計画の策定について(答申)」(以下、次期計画)が取りまとめられた。6月頃、この答申を基に「教育振興基本計画」が閣議決定される予定だ。

教育振興基本計画とは、2006年に全面改正された教育基本法に基づき、政府が策定する教育に関する総合計画である。5年ごとに見直され、これまで第1期(2008~2012年度)、第2期(2013~2017年度)、第3期(2018~2022年度)と3回策定された。今回は第4期にあたり、第3期計画期間中の成果や課題も踏まえ、教育政策の基本的な方針や、2023~2027年度の教育政策の目標とその実現に必要な基本施策、進捗状況を把握する指標等が示されている。

前稿「教育振興基本計画とは(1)~教育とウェルビーイング~」では、計画のコンセプトの一つである「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」について解説した。主軸となる「調和と協調に基づくウェルビーイング」はG7富山・金沢教育大臣会合でも提案され、その成果文書(富山・金沢宣言)に明記された。

本稿では、次期計画のウェルビーイング以外の特徴と考えられる「コロナ禍による変化(教育DX・グローバル)」と「学校と社会のつながり」について解説する。

2. コロナ禍による変化と基本的な方針

第3期計画期間中に、教育に大きなインパクトを与えた事象は新型コロナウイルス感染症の拡大である。中でも、学校におけるICT利活用とその必要性への認識が急激に広がり、「教育DX」を進める契機となった。また、入国制限等により海外留学や留学生の受入れが滞り、「グローバル化」に負の影響を与えた。資料1は、第3期計画と次期計画の「今後の教育政策に関する基本的な方針」の比較である。

資料1
資料1

次期計画の基本的な方針では、下線を引いた「①グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」と「④教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」に、コロナ禍の変化が特に反映されている。

3. コロナ禍による変化①:教育DX

まず教育DXについて、第3期計画では「⑤教育政策推進のための基盤を整備する」の一項目として「ICT利活用のための基盤の整備」が置かれ、情報活用能力の育成や各教科におけるICT活用の促進等が挙げられていた(前掲資料1)。一方、次期計画では基本的な方針の一つとなり、基盤としてのICT整備ではなく、教育のありよう自体の変革が意図されている。

この背景には、コロナ禍におけるICT端末の普及がある。第3期計画策定時には学校でのICT利活用は進んでおらず、目標は「学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備」等であった。その後、2019年12月にGIGAスクール構想が掲げられ、2023年度中の1人1台が目標となった直後、新型コロナウイルス感染症が拡大し、2020年3月に全国の小中高校及び特別支援学校等に臨時休校が要請された(注1)。

休校中、同時双方向のオンライン指導を通じた家庭学習を実施した公立学校はわずか5%であり、多くの学校がオンライン学習に対応できず、日本のデジタル化の遅れが露呈した。そこで、政府は補正予算約2300億円を投入し、GIGAスクール構想が前倒し実施され、結果、2021年7月時点で、全国の公立の小学校等の96.2%、中学校等の96.5%が、「全学年」または「一部の学年」で端末の利活用を開始した。

つまり、次期計画は、1人1台端末が普及してから初めて策定された計画となる。従来は、教育の基盤としてICT端末を配備すること自体が大きな目標であったが、今後はそれらを活用し、教育や学校組織を変革していくことがポイントとなる。 次期計画では、主に4つの視点から教育DXの推進方策を挙げている(資料2)。

資料2
資料2

1つ目のDXに至る3段階について、DXの第1段階(電子化・デジタイゼーション)は紙の書類などアナログな情報のデジタル化、第2段階(最適化・デジタライゼーション)はサービスや業務プロセスのデジタル化、第3段階(新たな価値・DX)はデジタル化でサービスや業務、組織を変革し競争優位性を確立することである。教育においては、例えば、紙のプリントのデジタル化(第1段階)→デジタル教材のリコメンドを参考に教材の最適な選択を行うこと(第2段階)→教育データに基づく教育内容の重点化と教育リソースの配分の最適化(第3段階)となる。

コロナ禍で飛躍的に進展したICT環境整備は、あくまで第1段階の準備である。現状は第1段階を着実に実行し、第2段階への移行を進めることが求められている。実際に、文科省の調査では2022年4月時点で、1人1台端末を授業で活用する頻度が週3回未満である小学校は依然2割あり、地域によっては端末の活用が進んでいない。さらに、自分で調べる場面でICT機器を使用する頻度が週3回以上ある小学校は約6割、自分の考えをまとめ、発表・表現する場面での同割合は4割以下と、効果的に活用できる場面で使えていない学校が多くある。

児童生徒だけでなく教師のICT利活用も大きな課題だ。校務処理を行うシステムに職員室からしかアクセスできない、紙ベースの業務が主流、教育行政系と福祉系データ等の連携が困難といったことが指摘されている。教師の業務負担軽減や児童生徒への効果的な支援には校務DXも重要となる。

こうした第3段階への移行や校務DXには、前掲資料2の3つ目の教育データの利活用や標準化が不可欠となる。また、コロナ禍でオンライン教育が進んだ一方、学校行事の減少等子供の体験活動が停滞した。改めてリアル(対面)ならではの教育効果を考え、デジタルとリアルの最適な組合せの構築も求められる。

直近では生成AIの活用も大きな課題である。2023年5月、文科省は中教審初等中等教育分科会にデジタル学習基盤特別委員会を設置した。デジタル学習基盤の整備・充実やそれを活用した教育のデジタル化の推進が目的であり、学校現場での生成AI活用ガイドラインについても議論される。初回会合では、生成AIについて全面禁止とすべきではないという意見が多く、教育DXに向け、技術をどう生かすかという方向で議論が進むと考えられる。ガイドラインは今夏前を目途に公表される予定であり、今後の議論に注視が必要だ。

以上、次期計画における教育DXの概要とその背景を述べた。答申提出後に生成AIが話題になったように、この分野は状況変化が著しい。計画期間5年の間に、予想できなかった技術が生まれることも大いにありうる。予測不可能という前提に立ちつつ、適宜計画を見直し、柔軟に対応することが教育DX実現に必要な姿勢といえる。

4. コロナ禍による変化②:グローバル化

コロナ禍の影響を大きく受けたものの2つ目はグローバル化である。第3期計画では「②社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する」にグローバル人材の育成が含まれていたが、次期計画では「①グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」として、グローバル化という言葉が前面に出された(前掲資料1)。

グローバルに活躍する人材の育成やイノベーション創出に向けた外国人材誘致は以前より重要視されていたが、コロナ禍でその動きが著しく停滞した。大学等が把握している日本人留学生数は2018年度11万5千人から、2021年度は1万1千人程度に落ち込んだ。各国の出入国規制が緩和・撤廃された後も、円安による留学費用の高騰が海外留学の妨げになっている。一方、オンライン授業の拡大により、海外大学と交流しやすくなった面もある。オンラインを介し海外の学生と協働でプロジェクトに取り組む「COIL型教育」はコロナ禍で注目が高まり、こうした学習を今後も継続・拡大していく必要がある(注2)。

日本の外国人留学生受入れは2019年31万人から2022年23万人に減少した(注3)。また、コロナ禍前は、留学生数は増加傾向にあったものの、高等教育機関を卒業・修了後に国内就職する割合は頭打ちになっている(注4)。さらに、約9割の留学生がアジア出身者であるなど、受入れ地域の多様化も以前からの課題である。

次期計画の基本方針「①グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」には、海外留学や国内のグローバル化に向けた留学生の受入れといった直接的なグローバル化施策と、グローバル人材としての素養あるいはグローバル化する中で社会の発展に寄与する人材育成施策の2つに大別される(資料3)。

資料3
資料3

前者では、より若年段階からの国際的な交流活動の推進や外国人留学生の受入れ環境の整備、大学等のグローバル化の基盤・ルールの整備等が挙げられている。これに関しては、2023年4月に政府の教育未来創造会議が「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」を提言し、より詳細な施策とKPIを掲げた。具体的には、2033年までに日本人学生の派遣を50万人(コロナ前22.2万人)、外国人留学生の受入れ40万人(コロナ前31.8万人)と野心的な目標になっている(注5)。達成には、奨学金の充実や留学生の就職円滑化、国内大学等の国際化等々、官民一体となった取り組みが重要であろう。

後者のグローバル人材としての素養に関しては、探究・STEAM教育や文理横断・文理融合教育の推進が第3期計画にはなかった施策として次期計画に盛り込まれた(注6、7)。この背景の一つには、近年「総合知」がイノベーション創出のキーワードとなっていることがある。総合知とは、「多様な『知』が集い、新たな価値を創出する『知の活力』を生むこと」と定義されている(注8)。すなわち、イノベーション創出や社会課題解決に向け、所属組織や専門領域を超えた様々な知を融合させることである。総合知の創出・活用に向けては、個人の専門知を持ち寄る場作りのほか、一人ひとりが文理の壁を越えた総合知を備える必要があり、探究・STEAM教育や文理横断・文理融合教育はそれに寄与する。また、総合知の目的が社会変革や持続可能な社会の発展である点も、こうした社会課題に取り組む教育手法と親和性が高い。グローバル化する社会では、解決すべき課題がより複雑化するため、総合知を意識した分野横断的な教育が求められよう。

グローバル人材育成は、特に2010年頃に課題意識が強まり、社内の公用語を英語にした企業もあるなど、官民で取組みが加速した(注9)。それから10年を経て、海外留学も増え、英語は特別なスキルではなくリテラシーの一種にもなりつつある中、なぜ今更グローバル人材育成なのかと見る向きもあるだろう。しかし、前述のとおりコロナ禍でグローバル化の機運は大きく停滞する一方、社会課題の複雑化が進む中でこれまで以上に多くの人がグローバル社会に向き合わねばならない状況にある。すなわち、「グローバル化」はいま改めて喫緊の課題なのである。

5. 学校と社会のつながり

コロナ禍による変化のほか、次期計画のもう一つの特徴は「学校と社会のつながり」と考えられる。資料4は第3期計画と次期計画のワードクラウドである。出現回数が多く重要度も高い名詞ほど大きい文字となっている。

資料4
資料4

第3期計画でも見られたキーワードもあるが、次期計画では社会との関連が深いものが特に目立つ。例えば、「リカレント教育」「社会教育」「生涯学習」など社会人の学びに関するものや、「コミュニティ・スクール」「スクールソーシャルワーカー」「地域コミュニティ」といった従来の学校教育を担ってきた教職員以外の主体、「アントレプレナーシップ」「職業教育」など実践的な教育に関するキーワードがより重要になったことが窺える。

その背景には、まず探究・STEAM教育のように実社会に関わる学びが求められているほか、技術革新への対応や労働生産性向上に向け官民で社会人のリカレント教育・リスキリングを推進していることがある。さらに、平成29・30・31年改訂学習指導要領は「社会に開かれた教育課程の実現」を理念として掲げ、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させることを目指している。こうした学校と社会のつながりが次期計画ではより強く反映されたとみられる。

6. 企業の役割

学校がつながる「社会」にはもちろん企業も含まれる。第3期計画では、企業と教育の関わりは主に高等教育段階やキャリア教育であった。しかし、次期計画では企業に期待される役割は全ての教育段階で拡大し、実践的な教育の提供やICT教育支援、起業家教育などが求められている(資料5)。

資料5
資料5

探求活動のような実社会の課題に取り組む際、実際に解決すべき課題を抱えている企業による課題設定や解決策へのサポートがあると、より実践的な学習になる。オンライン学習の普及で、場所を問わず学校とつながれるようにもなった。また、教員が多忙化する一方、STEAM教育やプログラミング教育、金融教育など、教えるべき内容は拡大している。その分野に精通した企業人など外部人材が教えることで、授業内容が充実するとともに教員の働き方改革にもなる。

高等教育段階の産学連携も拡充している。例えば、第3期計画では若手研究者のキャリアパスの明確化とされていたところが、「若手研究者がアカデミアのみならず産業界等の幅広い領域で活躍できるキャリアパスの展望を描けるようにする」と企業を含めたキャリアパスの構築であることが強調された。指標にも、「博士課程修了者の就職率の増加」「博士課程修了者を研究開発者採用した企業の回答のうち、『期待を上回った』『ほぼ期待通り』が占める割合の増加」が加わった。

恐らく、教育振興基本計画をフォローしている教育関係以外の企業は多くないであろう。しかし、教育現場において企業に期待される役割は一段と大きくなっている。経団連もその必要性を認識しており、「『次期教育振興基本計画』策定に向けた提言」(2022年10月)では「新時代の学びを推進するうえで、義務教育から高校教育、高等教育、リカレント教育に至るまで、産学官の連携・協働を強化し、オールジャパンで教育改革の実現を目指すことが重要である。経済界は、各企業における経営方針や人材・技術・ノウハウ等のリソースに照らして、効果的と考える施策に自主的かつ積極的に貢献していく」としている。次期計画は学校だけでなく社会全体に関わるものであることを多くの企業人が理解するとともに、文科省は幅広い主体への広報活動が必要である(注10)。

7. まとめ~持続可能な産官学連携~

以上、「コロナ禍による変化(教育DX・グローバル)」と「学校と社会のつながり」の観点から次期計画について解説を試みた。教育振興基本計画は大きな方向性を示すものであり、より具体的な施策と予算は今後中教審等の議論も踏まえて固まるとみられる。重要となるのは、前稿で述べた地方公共団体が策定する教育振興基本計画や教育大綱に加え、学習指導要領への反映であろう。学習指導要領は10年毎に改訂される。前回は2014年に諮問、2016年に答申がとりまとめられ、小学校では2020年から実施された。もし同様のスケジュールで進められる場合、2024年から議論を開始すると想定される。学校現場は学習指導要領に沿った授業を展開するため、次期計画の内容を現場に浸透させるには、こことの連動は不可欠である。ただし、これまでの教育内容に上乗せするだけでは、多忙な教員が対応できず、不十分な教育や過重労働による教員志望者の減少を招きかねない。スクラップ&ビルドの観点から、従来のカリキュラムを削ることも重要だ。

また、6節で述べたとおり、企業の教育現場への関わりが次期計画実現に必要となる。「人への投資」の一環としても、企業は学校教育へ積極的に参画すべきだが、ボランティア頼みだけでは持続性が乏しく、財政が逼迫する中で多額の予算を付けることも困難と考えられる。教育データの活用や商品開発への応用など企業側のメリットも検討しつつ、幅広い企業が参画可能な仕組み作りを産官学で進めるべきだ。

最後に、変化の激しい時代において、次期計画期間の5年の間にも様々な変化が生じるであろう。その際も次期計画策定時の前提となった「不易流行」を視座としつつ、フォローアップと見直しを図りながら、コンセプトである「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を実現させることが期待される。

以上

【注釈】

  1. GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想とは、2019年に文科省が打ち出した方針。小中学校の児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境の実現を目指す。
  2. COILとは、Collaborative Online International Learningの略称。オンラインを活用した国際的な双方向の教育手法のこと。
  3. 外国人留学生数は高等教育機関と日本語教育機関の合計。入学に必要な手続き等は完了していたものの日本の入国制限によりやむなく海外現地でオンライン授業等を受講していた者の数も含まれ、全体の8.5%(19,552人)を占める。(文科省(2023)「「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について」)
  4. 高等教育機関を卒業・修了後に国内就職する外国人留学生(国内進学者を除く)の割合は、2012年度の30.8%から、2018年度には48.0%まで増加したものの、2019年度47.6%、2020年度には39.9%となった。(内閣官房教育未来創造会議(2023)「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」)
  5. 教育未来創造会議の目標値「日本人学生の派遣50万人」には、大学・専門学校等での学位取得等を目的とする長期留学者、協定などに基づく中短期の留学者、高校等での研修旅行(3カ月未満)・留学(3カ月以上)が含まれる。
  6. STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts/ Liberal Arts)、数学(Mathematics)の頭文字をとったもので、各教科での学習を実社会での問題発見・解決にいかしていくための教科横断的な教育のこと。Aの定義は様々あるが、文科省では、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義。
  7. 第3期計画では、大学院教育における文理の枠を超えた分野横断的な知識の習得について記載されているが、その他学校段階での言及や文理横断・文理融合教育という言葉はない。
  8. 総合知については、第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえ、総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会での検討を経て「『総合知』の基本的考え方及び戦略的に推進する方策」として定義等がとりまとめられた。
  9. 2010年に、政府の「新成長戦略」に「グローバル人材の育成と高度人材等の受入れ拡大」が明記された。それを踏まえ、2011年に内閣官房長官を議長とした「グローバル人材育成推進会議」が設置された。
  10. 文科省はYouTubeの公式チャンネルで、次期計画のポイント解説動画等をアップしている。

【参考文献】

  • 教育再生実行会議(2019)「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について(第十一次提言)」
  • 経団連(2022)「『次期教育振興基本計画』策定に向けた提言-主体的な学びを通じ、未来を切り拓くことができる多様な人材の育成に向けて-」
  • 内閣官房グローバル人材育成推進会議(2012)「グローバル人材育成戦略」
  • 内閣官房教育未来創造会議(2023)「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」
  • 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局(2022)「『総合知』の基本的考え方及び戦略的に推進する方策中間とりまとめ」
  • 文部科学省(2018)「第3期教育振興基本計画」
  • 文部科学省(2020)「令和2年度補正予算概要説明~GIGAスクール構想の実現~」
  • 文部科学省(2021)「端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)」
  • 文部科学省(2022)「次期教育振興基本計画の策定について(諮問)」
  • 文部科学省(2023)「「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について」
  • 文部科学省(2023)「次期教育振興基本計画の策定について(答申)」
  • 文部科学省(2023)デジタル学習基盤特別委員会(第1回)資料「GIGAスクール構想の現状について」
  • 文部科学省(2023)GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」
  • 文部科学省(2023)「G7 教育大臣会合『富山・金沢宣言』(仮訳)」
  • 鄭美沙(2023)「教育振興基本計画とは(1)~教育とウェルビーイング~」

鄭 美沙


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

鄭 美沙

てい みさ

総合調査部 政策調査G 課長補佐
専⾨分野: 教育、ダイバーシティ、金融リテラシー

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