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【1分解説】フュージョンエネルギーとは?

谷口 智明

  音声解説

フュージョンエネルギーとは、軽い原子核を高温・高圧で融合させて重い原子核に変わる際に放出される「核融合エネルギー」のことです。これは、太陽が絶えず輝いているのと同じ原理で、「地上の太陽」ともいえます。

核融合は、燃料1グラムで石油8トンに相当する膨大なエネルギーを得ることができます。さらにカーボンニュートラルで、燃料源も豊富に存在し、原子力とは異なる固有の安全性と環境保全性を有するという特徴があります(資料)。このため、実用化されれば、エネルギー問題と地球環境問題を根本的に解決するものとなります。

2023年4月、政府の統合イノベーション戦略推進会議は、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を決定しました。エネルギー資源の乏しい日本にとって、化石燃料からクリーンエネルギーへ移行しつつエネルギー安全保障を確保することは重要な課題であり、政府として初めての開発戦略となります。

既に日本は、EU・米・露・韓・中・印と共同で国際熱核融合実験炉「ITER」(イーター)の建設プロジェクトに参加し、2035年の核融合運転開始を目指しています。発電への実用化はさらにその先となりますが、ゲームチェンジャーとなり得る夢のエネルギーであり、その実現に期待が高まります。

この解説は2023年5月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


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