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【1分解説】グローバル・ストックテイク(GST)とは?

田村 洸樹

  音声解説

グローバル・ストックテイク(GST)とは、パリ協定に基づいて各国が定めた温室効果ガス排出削減目標(NDC)の世界全体の進捗状況を評価する仕組みのことです。

2023年に実施された第1回目のGSTでは、2030年までのNDCに対する進捗状況がレビューされました。NDCは5年毎に策定・提出することが義務付けられているため、今回のGSTの内容は次回各国が提出する2035年までのNDCの大幅な引き上げを後押しする可能性があります。

IPCC(気候変動政府間パネル)が2023年3月にまとめた第6次統合報告書によると、各国の現在の削減目標は「極めて不十分」とされ、2035年までに2019年比で60%の削減が必要であると指摘しています。他の非営利団体や研究機関も現在のNDCが不十分であることを訴えており、野心的な目標への引き上げを求める声が高まっています。各国政府は次回のNDCで少なくとも現状より高い目標を掲げる姿勢を示すことが避けられないでしょう。

日本は2030年までに2013年比で46%の削減、2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しており、多くの日本企業もこれに合わせた目標を掲げていますが、日本の2035年目標が引き上げられた場合、民間企業も現在掲げている目標の見直しを迫られる可能性があります。

この解説は2023年4月時点の情報に基づいたものです。

田村 洸樹


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