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【1分解説】ペロブスカイト太陽電池とは?

牧之内 芽衣

  音声解説

ペロブスカイト太陽電池は、現在主流のシリコン系太陽電池と比べて薄く軽量で、しなやかに曲げることのできる太陽電池です。ペロブスカイト構造という特殊な構造を持つ化合物を素材として作られます。

シリコン系太陽電池では薄く加工したシリコンを母材に用いていましたが、非常に薄く割れやすい性質のため、ガラスに貼り付けるなどして保護する必要がありました。このため1平方メートルあたり10kgを超える重さとなり、設置場所が限られるという短所があります。

ペロブスカイト太陽電池の原料は溶剤に溶けるため、インクのように塗布・印刷して量産が可能です。フィルムなどの柔らかい素材に塗布すれば、従来は難しかった壁面や窓に設置することもできるほか、量産によりコストが低減できる可能性もあります。

同電池は発電効率が低いという問題がありましたが、世界各国で研究が進み、シリコン系太陽電池と比べても遜色ない効率になりつつあります。エネルギー安全保障上の懸念から、世界市場の8割強を中国産が占める太陽電池の国産化を進めるねらいもあり、エネルギー自給率が11.2%(2020年度)と低い日本での再生可能エネルギーの導入加速に向けて商業化が期待されています。

この解説は2023年4月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


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