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【1分解説】CSDDD案とは?

田村 洸樹

  音声解説

CSDDD案とは、欧州委員会が2022年2月に発表した「欧州コーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令案」の略称です。主に大企業に対して、自社の活動が人権と環境に及ぼす悪影響をデューデリジェンス(特定・予防・緩和)することを義務付けるものです。近年、欧州諸国では、企業に人権や環境のデューデリジェンスを義務付ける法規制を導入する国が相次いでおり、欧州レベルで統一された枠組の策定を求める声が高まっていました。2023年12月、欧州議会と欧州理事会は、CSDDD案に関して暫定合意しましたが、導入時期等は未定です(注)。

グローバル・バリューチェーンがデューデリジェンスの対象範囲に指定されているため、欧州ルールであるにも関わらず、日本企業に対しても人権・環境デューデリジェンスの実施が求められる可能性があります。

「サプライチェーン」が、商品の製造から消費者の手に渡るまでの直接的関係者の流れを指す一方で、「バリューチェーン」は、企業が直接関与・管理できない配送業者や中古市場等の間接的関係者までを含めた、価値創造の流れに基づく広い概念です。企業がバリューチェーンをデューデリジェンスするのは困難・非現実的との指摘もあり、欧州連合として実効性のあるルールを実装できるかが注目されます。

(注)欧州理事会プレスリリース(2023年12月14日)参照

この解説は2023年3月に公表した後、2024年3月時点の情報に基づき改訂したものです。

田村 洸樹


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