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【1分解説】GFANZとは?

牧之内 芽衣

  音声解説

GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)は「グラスゴー金融同盟」の略称です。投融資先企業への働きかけなどを通じて金融面から脱炭素社会の実現を推進する金融機関の有志連合として、2021年4月にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26で発足しました。45か国から450を超える金融機関が加盟しています。

GFANZに加盟する金融機関は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)によるキャンペーン「Race to Zero」が示す脱炭素基準を遵守することになっていました。ところが、コロナ禍からの回復やウクライナ情勢などの影響で天然ガス価格が上昇し、一時的に石炭回帰の流れも見られる中、新規石炭事業への融資を断ち切るといった「Race to Zero」の基準が厳しすぎるとして、一部の金融機関から反発が生じました。これを受けて「Race to Zero」基準の遵守は「推奨」へと変化しました。

GFANZには中国やインドなど、CO2排出量の増加が見込まれるアジア各国からの加盟割合が少ないという問題もあります。GFANZは2022年6月にトランジション計画関連のレポート、11月にはトランジションファイナンスに関する提言を公表しており、一足飛びに脱炭素が困難な産業の段階的な脱炭素移行「トランジション」にどこまで対応できるか注目が集まっています。

この解説は2023年3月時点の情報に基づいたものです。

牧之内 芽衣


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