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2022.10.18
ライフデザイン
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「何かあったときに相談できる人」は?
~誰にも相談しない人も多い「家族のこと」~
北村 安樹子
1.「何かあったときに相談できる人」「家族のことを相談できる人」
何か困難な出来事に直面したとき、実際の手助けや参考になる情報を与えてくれたり、話を聞いてくれたり、いつもと変わらない接し方で見守ってくれる人の存在に助けられた経験をもつ人は多いだろう。
このような相談に関連して、当研究所では昨年1月に行ったアンケート調査で「何かあったときに相談できる人」や「家族のことを相談できる人」についてたずねている。このうち「何かあったときに相談できる人」については、最も多くあげられたのは「配偶者」(43.7%)で、「母親」(35.7%)や「兄弟姉妹」(27.0%)などがこれに続いている(図表1)。なお、「家族・親族」のうち、配偶者の親・兄弟姉妹、おじ・おば、いとこなどが該当する「親・兄弟姉妹・配偶者・子ども以外の家族・親族」(8.4%)をあげる人は1割を下回っている。
一方、家族・親族以外の人では「学校・学生時代の友人・知人」(18.2%)が「父親」(19.9%)や「子ども」(19.4%)に近い水準であげられている。それ以外の「職場や仕事関係の友人・知人」(9.8%)、「恋人」(7.6%)、「趣味・余暇等を通じた友人・知人」(5.4%)、「地域や近所の友人・知人」(4.0%)、「子どもを通じた友人・知人」(3.0%)などはいずれも1割に満たない。何かあった場合の相談先として、「家族・親族」を思い浮かべる人の多さがうかがえる。また、一般的に進学、就職、結婚、子育てなどは、他者との新たなつながりをもたらす機会だと考えられているが、実際にこれらの機会を通じて新たに得た家族・親族や友人・知人を「何かあった場合に相談できる人」としてあげる人は、かなり少ないことがわかる。
これに対して、「家族のことを相談できる人」については、上位項目は「何かあったときに相談できる人」とほぼ共通するが、「家族・親族」の割合は軒並み減少し、「誰もいない」とした人の割合が高まる。家族・親族の選択肢には相談にかかわる当事者が含まれるため、その割合が減るのは当然の結果ともいえるが、「友人・知人」の割合もやや減少する(図表2)。家族の年齢や人数、相談事の内容にもよるが、家族にかかわることは、他の相談事に比べて、誰にも相談しない場合もあるといえる。
2.誰にも相談しない人も多い「家族のこと」
このように、「何かあったとき」に相談できると感じる人は「家族・親族」が圧倒的に多く、「家族のこと」に関しては、他の相談事に比べ誰にも相談しない場合もあると考えられる。忙しい日々のなかで、家族・親族に相談するのが難しい場合や、家族・親族以外の人との気軽なコミュニケーションの時間をとりにくくなっていることなども、他者への相談を控えることや、誰にも相談しないことにつながっている場合もあるのだろう。
一方で、コロナ下の生活を通じて、物理的に離れた場所にいる人や、限られた時間しかない人と、メールや電話で話せること、オンラインで必要な相談が行えることの利便性や有難さをあらためて感じた人もいたのではないだろうか。対面ではないコミュニケーションツールを活用することで、対面で会う限られた時間のコミュニケーションをよりよい形で行えた人、多様な手段で相談できる安心感を得た人、相手との信頼関係が深まった人もいたと思われる。
ただ、スマートフォンや携帯電話、パソコンなどの情報機器を介したやりとりは、このような形で他者への相談を行いやすくした場合がある一方、それらの利用状況の違いが、自分からの相談や周囲へのコミュニケーションの働きかけを行いにくくしている場合もあると考えられる。特に家族のことは、他の相談事に比べ誰にも相談しない場合もあると考えられることから、事態の本質や対処の必要性が、周囲からみえにくく、わかりにくい場合もあるのではないだろうか。
北村 安樹子
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 北村 安樹子
きたむら あきこ
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ライフデザイン研究部 副主任研究員
専⾨分野: 家族、ライフコース
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