データで見やすくする経済情勢『動くグラフで見る世界の原油輸出の変化』

阿原 健一郎

動くグラフ「世界の原油輸出の変化」

スマホを横向きにして表示させてください

地図は拡大・縮小、スクロールが可能です。
凡例をクリックすると、輸出国ごとに線分の表示・非表示が切り替わります。凡例をダブルクリックすると、その輸出国の線分のみ表示されます。
線分の端にカーソルを合わせることで、「輸出国、輸入国、原油輸出量」の情報が表示されます。

注)2022年時点で原油輸出量の多い上位10か国について、2011~2022年の輸出先上位10か国と原油輸出量(バレル/日量の多さに応じて線分の幅を7つに分類)をプロット。
原油輸出量の上位10か国は、中東諸国の輸出量を考慮するためOPEC公表のデータを参照、主な輸出先はUN Comtradeの原油(HSコード2709)の輸出入データを参照。
ロシアやサウジアラビア等、直近の原油の輸出先が確認できない一部の国は、世界各国の輸入から逆算して作成。1kg=0.006289blとして計算。
出所)OPEC、UN Comtradeより第一生命経済研究所作成

原油輸出国になった米国、原油輸出国であり続けるロシア

3月3日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国でつくる「OPECプラス」は、日量220万バレルの自主減産を第2四半期も延長することで合意しました。生産量を調整し、原油価格を下支えする狙いがあると言われています。原油から精製される石油は、エネルギーの多様化が進む今日でも、主力エネルギーの一つであることに変わりはなく、原油価格の動向は世界経済に大きな影響を及ぼします。

原油の需給には、この10年ほどで幾つか目に見える変化が起きていました。グラフは、2022年時点で原油輸出量の多い上位10か国について、主な輸出先と輸出量を遡って示したものです。OPECの盟主であるサウジアラビアの輸出量が多いことは今も昔も変わりません。大きく変化したのは米国です。以前は石油の輸入国でしたが、2000年代後半のシェール革命により、原油の生産が急増し、2020年には原油の純輸出国となりました。グラフでも、2014年以降から徐々に輸出量が増加し、輸出先も多様化していることが確認できます。2020年以降は、新型コロナウイルスやシェール企業の株主還元の動き、バイデン政権による脱炭素化政策の推進により、生産は大きく増加していませんでしたが、2024年の大統領選で、脱炭素化政策に批判的なトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、原油の増産につながっていく可能性があります。

一方、ロシアは、ウクライナ侵攻に伴う西側諸国の経済制裁によって、ロシア産原油に価格上限設定が課される等、原油取引を大きく制限されていました。ただ、グラフで2022年の輸出を確認すると、制裁に加わっていない中国やインド向けの輸出を増加させており、引き続き、原油輸出国であり続けていることがわかります。

阿原 健一郎


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。