ライフデザイン白書2024 ライフデザイン白書2024

よく分かる!経済のツボ『従業員の「働きがい」改革で企業も増収?』

髙宮 咲妃

目次

企業の「働きやすさ」は近年改善傾向

2019年4月から順次「働き方改革関連法」が施行されています。同法に基づき、国は長時間労働を無くし、働きすぎを防ぎながら「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」の実現を目指しており、各企業は各々職場の環境改善に取り組んでいます。近年、年間総実労働時間及び労働者1人平均有給休暇取得率は改善傾向にあり(資料1)、安心して快適に働ける「働きやすい」職場環境が整いつつある今、国や企業は次のステージである「働きがい」をもって働ける職場環境の実現に向けて動き始めています。

資料1
資料1

「働きがい」向上で生産性も向上

2019年9月に厚生労働省より発行された「令和元年度版労働経済の分析」では、「働きがい」をスコア化し、分析しています(ワーク・エンゲージメント・スコア)。日本人はポジティブな感情の表出を抑制することが社会的に望ましいとされている風潮があるため一概に比較はできませんが、日本のワーク・エンゲージメント・スコアは他国と比較して相対的に低い状況にあります(資料2)。

資料2
資料2

前掲書では、「働きがい」を向上させることにより、新入社員の定着率の向上や離職率の低下に加え、従業員の労働生産性向上に繋がる可能性が示唆されています(資料3)。さらにこうした効果を通じて、企業業績が改善することも期待されます。

資料3
資料3

足元では少子高齢化による生産年齢人口の減少や、雇用の流動化が進んでいく中で、労働者が自分で働く場所を選択するようになってきています。そのような環境下で、「働きやすさ」や「働きがい」といった視点から企業の評価を高めることは、人材確保の観点で極めて重要です。

自社のエンゲージメントを測定したり、1on1など「働きがい」を向上させる取組みが見られ始めています。より良い職場環境を作り上げていくためには、企業側が一方的に取り組むのではなく、企業と従業員の双方が職場の現状や課題を共有していくことが重要です。          

髙宮 咲妃


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。