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よく分かる!経済のツボ『日本の若者の環境意識は高いのか』

牧之内 芽衣

目次

欧米で若者中心に高まる環境意識

2018年、若干15歳だった環境活動家グレタ・トゥーンベリさんがCOP24で演説を行ったことが世界中で多くの注目を浴びました。グレタさんに共感した人たちによるストライキ「グローバル気候マーチ」が世界的なムーブメントとなるなど、環境保護への切迫した思いを訴えるグレタさんの活動は、持続可能な未来を希求する若者世代の共感を集めています。

日本人の環境問題への関心

ピュー・リサーチ・センターが2015年と2021年に複数の国で「自分が生きている間に気候変動による悪影響を受ける心配があるか」という質問をしたところ、多くの国で「とても心配だ」と回答した人の割合が増加していたものの、日本のみ8ポイント減少しています(資料1)。他国の危機意識が上がっているものの、日本では2015年時点に比較的高かった危機意識が下がり、他国に比して関心が低くなっているのです。同センターでは、気候変動を軽減するために自分のライフスタイルを変えるかどうかについても質問を行っています。日本は、調査対象の17か国の中で「変える」と回答した人が最も少なく、最下位でした。

図表1
図表1

若者の環境意識は高いのか

2021年公表の内閣府「気候変動に関する世論調査」(調査は2020年)では、環境問題に「関心がある」「ある程度関心がある」人の合計割合が最も少ないのが18~29歳でした(資料2)。特に「関心がある」割合は20%に過ぎず、70歳以上の3分の1以下です。「関心がある」割合が最も多いのは70歳以上の層で、2016年の結果(調査は2015年)と比較すると49.3%から61.1%と大きく増加しています。

環境活動を行う若者にスポットライトが当てられることは多いですが、日本人の環境意識は国際的に見て高くなく、中でも若者は低い傾向にあります。環境問題の重要性について、いま一度認知の促進が求められます。

図表2
図表2

牧之内 芽衣


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