ライフデザイン白書2024 ライフデザイン白書2024

ESGインサイト『ライフデザインはウェルビーイング実現に役立つ』

村上 隆晃

目次

日本の幸福度はコロナ禍でも上昇

毎年3月20日は国際連合が定めた国際幸福デー(International Day of Happiness)であり、「世界幸福度報告」(World Happiness Report)が刊行され、各国の幸福度がランキング形式で公表される。

2023年の報告書での日本の幸福度は6.129(2020-22年平均)と前年の報告(6.039)よりも0.090ポイント上昇した。ランキングも54位から47位に上昇している。

日本の幸福度はコロナ禍にあっても上昇したが、この傾向が今後も続く保証はない。そこで、本稿では日本において人々が幸福度の向上に取り組み、「持続的な幸せを感じる状態=ウェルビーイング」を実現する人が増えるためのヒントについてライフデザインという観点から探ってみたい。

ライフデザインを行っている人の幸福度は高い

2020年12月に第一生命経済研究所で実施したアンケート調査では、ライフデザインと幸福度の関係について分析している。

この調査では、ライフデザインを経済計画だけではなく、仕事や学業、家庭生活、余暇生活、老後の生活等すべての面を含んだものとして聴取している。

幸福度については、生活に対する満足度の形で0~10点の11段階で評価してもらっており(0点が最低、10点が最高)、全体の平均は5.5点となっている。

ライフデザインの有無と幸福度の関係をみると、ライフデザインを行っている人の方が、幸福度が高い傾向がある(資料)。

図表1
図表1

ライフデザインを行っている人は全体の26%にとどまるが、以下のような効果があると感じている。

  • 具体的なライフイベントとそれに伴う費用を認識
  • 自分や家族の健康・就業不能に関するリスクを認識
  • 生きがいやライフワークへの気づき
  • 将来のキャリアプランの明確化

ライフデザインを行うことで、人々は現在の自分の状況を改めて認識するとともに、人生の先行きに対するビジョンが明確になる。そして、実際に目標に向けて行動することで幸福度が上昇しているものと考えられる。

前向きな夢や目標を持ち、意識的にそれに向かって行動し続けていくことが、幸福度の向上に繋がるというのは、常識的に響く。しかし、生活者にとって、日々多忙な生活を送る中では、見失いがちな点でもある。生活者としては、自身の人生や生活にとって何が大切かを振り返り、ライフデザインを行って、幸福度向上やウェルビーイングの実現に向けた取組みをスタートするのが重要と考えられる。


(本稿は、2021年8月「Well-beingとライフデザインの幸せな関係~コロナ禍での幸福度上昇を持続させるためのヒントを探る~」を基に作成、内容を一部アップデートしたもの。 https://www.dlri.co.jp/report/ld/158131.html)

村上 隆晃


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。